ななはち文庫

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短編小説「きをてらう」

僕の名前は寺煎  訊(てらい じん)。

でもそんなことはどうでもいい。

どうしてだ?


何で皆、奇を衒わないんだろう?


若い内は「衒う」べきだと思うんだけどなぁ。


だって、「衒」って字の意味は、
『才能を顕示すること』
『力を見せつけること』
それいつも皆やってるじゃないか。


学校のテストだって、大会だって、全部自己主張甚だしい『衒』なんだよ。

じゃあなんで『奇』は『衒』わない?

平凡な日常に飽き飽きしないのか?

私は「奇を衒う」ことに趣を感じる。
事を好む、人間だ。

「奇を衒わない」ことに楽しみはない。

皆、奇を衒おうよ!
日常にスパイスを!!
日々刺激を求めていこうよ!!!


常識…。

迷惑をかけなければそれが常識か?

常識なんて、変えれるのに…。

何故だ??

何故なんだ??



何故、君は家の中で傘をささない?

何故、君はノートを逆から使わない?

何故、君は名前を本名で書く?

何故、お守りは大切にとっておく?

何故、蛍光色は光る?

何故、夜になると眠くなる?

何故、僕は足が二本ある?

何故、僕は今すぐ走り出さない?

何故、僕はここにいる?






何故????




何故??君はあの時アイツを止めなかった??


それが普通じゃないからか?



普通じゃないもの、を見るために、僕達は普通を日々演じてるんだ。


「奇を衒わ」なきゃ、世界は進まない。


のに、

まるでら「奇を衒わない」ことを生きがいみたいに毎日君は生きてる。



何故??


何故だ???


どうしてみんなは奇を衒わない?


そして僕だけ衒うんだ?

どうしてなんだ???


どうしてだ?




どうしてだ……



どうして僕は、みんなと違うんだ?





――――――――――――――――
「きをてらう」    〜終〜