ななはち文庫

自作の小説やコラム、日記やエッセイなどの文藝倉庫。

生徒会長の4コマ

かつて、自分は「生徒会長」をやっていたことがありました。過去の話です。 今でこそジョークやユーモアを語れますが、もしかしたら。どこかであの出会いが無ければ、あの言葉を自分が発しなければ…一毫もユーモアを見いだせないカチカチの人間になっていた…

夢日記 第二夜

気が付いたら私は面接会場にいた。パイプ椅子に座り、背筋を伸ばし、拳をやんわりと握り、まるで「就活マニュアル」にでも載っているかのような姿勢で自分の名前を呼ばれるのを待っていた。 「インスタント」という名前の会社らしく、名の通り、「インスタン…

サボタージュ・トリップ

"運転手さんそのバスに僕も乗っけてくれないか行き先ならどこでもいい" ブルーハーツ「青空」より。 日常から非日常へ向かう旅。気持ちがふわふわする旅。ふらふらと、あてもなく彷徨う旅。効率のかけらも感じられない、非生産的な旅。 「サボる」という語は…

夢日記 第一夜

前書き この夢日記は、私が夢を見て、かつ、覚えている範囲で書き起こすことができた範囲の内容である。 ーーーー気がついたら、大きな研究施設のような場所にいた。おそらく、かなり有名な大学なのだろう、と思った。 何故か何者かに追われているらしく、私…

居酒屋物語

「上司に阿諛するような真似はするな」という経験則に基づき、毒バナナでゴリ松課長の頭部を渾身の力で、ひっぱたく。 瞬間、課長の頭皮に張り付いていたと思われる黒々とした鬘が、あらぬ方向へと等速加速直線運動で飛んでいく。 ゴリ松課長の毛根が既に死…

小説「間違いたい人」

「アニメなんてくだらん。お前は普通に進学するべきだ。えぇ、いや、せねばならない。」――――まるで担任が世界を代表して僕を批難しているようだった。客観的に見ればこの表現は大袈裟に見えるかもしれない。しかし、当事者の僕にとっては、なんて等身大の表…

小説「社畜のお正月」(4116字)

あけましておめでたくなんかない。「新しい朝が来た」「希望の朝だ」もう僕には、夏休みの早朝に聞けるような健康的な歌詞文句が心に響くような精神的純粋さは無かった。きっとみんな世の中正月ムードで、テレビを見ればワハハして、炬燵に入ればヌクヌクし…

日本の道徳って

日本の道徳について。丁度さっき、駅前を歩いていたら、スラブ系の女性に声をかけられた。どうやら、募金のお願いらしい。たどたどしく英語を交えると、僕の手はいつの間にか、彼女の手に500円玉を手渡していた。募金をし終え、その場を立ち去った後に、さ…

短編小説「きをてらう」

僕の名前は寺煎 訊(てらい じん)。でもそんなことはどうでもいい。どうしてだ?何で皆、奇を衒わないんだろう?若い内は「衒う」べきだと思うんだけどなぁ。だって、「衒」って字の意味は、『才能を顕示すること』『力を見せつけること』それいつも皆やっ…

今日書いた二つの小説についてとこのブログについて

今日は二つの短編小説を書いた。コンテストに応募するわけでもなく、ただこうしてブログに小説を書いてみたのは、レスポンスが欲しかったというのもあるけれど文章を即席で書く練習のようなものに近い。ブログは改行も簡単だし、スマホのフリックは割と早く…

短編小説「こころ」ころころ、ろここちゃん

私の名は神林ロココ。本名である。親が考えて考えて考えて考えて、この名前を付けてくれた。世間は私のことを、俗に「DQNネーム」、と呼ぶ。価値観を押し付けるな。私は私の意思でこの名前を肯定しているのだから問題なかろう。親が価値観を押し付けている…

短編小説「Neon」

秋が運んでくるのは哀愁の風だけではない。受験生の葛藤と、それぞれの進路だ。高校三年生の夏葉は、登校しながらその坊主頭を悩ませていた。夏葉という名前ではあるが、男である。秋らしい晴天の中、夏葉はとぼとぼと歩く。(志望理由書…なんて書こうか…)…